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花月その4

茶道内弟子修業日記「花月」その四

・・・メイの必死の「教えてください」目線は届かず、

誰もが静かに式法の中にいた。

(うう、自分の無知によりまた滞らせてる・・・)

メイのお茶はまだ半分しか飲まれていなかった。

この茶をそのままにして、いったん止めて何かするというのは、今まで教わったことない。

しかし、しかし・・・

札を入れる箱は、ずっと、メイの膝脇で、止まったままじっと待っている。

そう、同じく、他の人たちも、メイが何かしない限りは、箱に触ることもできない。

(ええい!)

もう、わけがわからん!と思いきり、

メイはついに半分飲みかけの茶碗を畳の上に置いた・・・

その時の心拍数や、通常の二倍である。

ふるえて硬直しそうな右手で、札の箱を隣に送った。

これでよかったのかどうか、

急いで茶碗を再び手に取り、残りの茶を飲んだ。

飲みながら目を横にはわせると、

箱は、また隣の人が、次に送っていた。

誰も悪いとも、良いとも言われないが、

ただ、メイが止めていた時間が動きだしたようで、残りの茶を飲みながら、(思い切ってよかったのかも)という気がして、心臓の鼓動が落ち着いてきた。

なんだかすごい「花月」

頭の中でものすごい速さで考えなくちゃいけない緊張感をメイは緑色の液体と一緒に飲みほした。(つづく)

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