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2009年6月

花月 その3

花月では、札を使う。

5人なら5つの札を使う。

それをみんなでくじ引きみたいに引くのだ。

中に花と月が書いてある札が1つずつあって、

花があたるとお点前、

月があたるとお茶を飲む。

当たらない人は、次回のくじびきに掛ける、という流れだ。

札を進めるには、畳目3目、

止めるためには5目、

など、無言のため、ルールが決まってて、

それを頼りに全員が動くのだ。

一人目の花が当たった人がお点前をする。

お茶を点てる前に、客座に座っている人が、

札を回しはじめ、

お茶が点ったとたん!に、

一斉に裏になってる札をひっくり返して、

誰が「花」か誰が「月」か見るのだ。

お茶が出てからでないと、

誰が飲むのかもわからない。

だから、先がわかってて、安穏としている隙間がなく、

それぞれがその場の作業に集中しなくてはならない。

・・・本当は、花月でなくても、いつものお茶席でもそういうことなんだが・・・なかなか先がわかってると気を抜くもんなんだ。

(あっ、お茶が点った!)

札を見る!

「つ・月!」

メイは、思わず声を上げた。

そう、月の人と、花の人は、無言といえども、名乗らなくてはならない。これだけは発声するのだ。

(と、取りに行かなきゃ)

ぼーっとしている間はない。

周りを止めちゃいけない!と昔の先生に何度も怒られてた教訓を生かし、

茶を取りに出た。

月が当たった人はお茶を飲むのが役割なんだ。

御茶が飲めてよかった、という気持ちも持てやしない。

ただただ義務的に飲んだ。

すると、隣から札を入れておく箱が回ってきた。

(ど、どうするの?)

メイは茶碗を持ったまま、きょろきょろと箱と茶碗と内弟子の先生、隣の人に、訴えるような眼で見まわした。

(つづく)

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花月の巻2

花月は無言ですすめられていく稽古の式法

でも、もちろん、前の稽古場では、

式法が難しすぎて、

(だってここは何目で、このときは斜めだのなんだの、いろいろうるさい)

先生が「ほら、右でしょ」「左でしょ」

「わかりません」「どうするんですか?」

なんて話しながら進めていくものだった。

それが、この稽古場では、内弟子の先生も私たちと一緒に席に入って、

一緒に式法を行う・・・

先生が一緒に稽古人の中に入る

それだけでビックリだが、

みんな、こんなに難しい式法をだいたい頭に入れてるみたいで

誰も何も言われなくても、すんすんと進めていくのだ。

そう、わからずに周りを見て、

(これでいいの?)

(ここ?)

と、ウロウロしてるのはメイだけ。

「粛々」とすすんでいくのだ。

この空気と緊張感をメイは思い切り吸い込んだ。

(つづく)

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花月百回朧月夜?

宗匠の稽古場に通うのは、

お寺でお休みをいただいた日。

週に一度。

この日は、朝から稽古場に夕方までいる。

夕方5時からは、男子稽古の時間。

男女同席せず、がここの稽古場の決まりである。

5時前には先輩方は、す~っと帰っていく。

4時半くらいになると、男子がちらほら現れる。

女子ほど多くなく、いつもすれ違えって帰るとき、2~3名だなと思ってメイは見ていた。

本当は、お寺がお休みなので、5時になっても暇なメイは、ずっと稽古見学をしていたいのだが、この時間にならないと帰らないといけない。

男性の稽古人が1人、2人、玄関に見えたころ、メイも帰る時間だと水屋を立とうとすると、

玄関(水屋の隣)で、先生が、

「花月でもしますか」

と声をかけた。

「人数が足りないか」

「○○さんは今日はお休みだそうです」

「・・・」

メイが帰ろうとすると、みんなと自然と目があった。

1,2,3・・・人とメイを入れると、ちょうど、その「花月」というけいこができるのである。

「まだ5時までいいんじゃないですか」

一人、慣れた感じの男性の稽古人がメイに声をかけた。

メイはもちろん、花月稽古に入れてもらえるのなら!

と、もう乗り出して、先生が5時ぎりぎりである、という時間制限を見逃して、稽古に入れてくださるのをじっと待った。

「では、席入りを」

先生は許可する、許可しないとは何も言われなかったが、

周りの男子の稽古人が

いいよ、いいよ、と目配せをしたので、

一緒に稽古に参加。

花月(かげつ)とは、江戸中期に、ここの宗匠のご先祖様もご一緒に創作に参加した稽古修練の一つの形だった。

禅語の「七事随心」という言葉から取られたという「七事式」(七つの修練方法)の一つである。

難しい。

花月百回朧月夜(百回稽古しても、まだまだ おぼろ月夜くらいしか見渡せないという意味らしい)とも言われる。

メイもこの稽古は難しくて、一回でも多く参加したいと思っていたので、席に入らせてもいながら、ドキドキ胸が高鳴っていた。

(つづく)

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