花月 その3
花月では、札を使う。
5人なら5つの札を使う。
それをみんなでくじ引きみたいに引くのだ。
中に花と月が書いてある札が1つずつあって、
花があたるとお点前、
月があたるとお茶を飲む。
当たらない人は、次回のくじびきに掛ける、という流れだ。
札を進めるには、畳目3目、
止めるためには5目、
など、無言のため、ルールが決まってて、
それを頼りに全員が動くのだ。
一人目の花が当たった人がお点前をする。
お茶を点てる前に、客座に座っている人が、
札を回しはじめ、
お茶が点ったとたん!に、
一斉に裏になってる札をひっくり返して、
誰が「花」か誰が「月」か見るのだ。
お茶が出てからでないと、
誰が飲むのかもわからない。
だから、先がわかってて、安穏としている隙間がなく、
それぞれがその場の作業に集中しなくてはならない。
・・・本当は、花月でなくても、いつものお茶席でもそういうことなんだが・・・なかなか先がわかってると気を抜くもんなんだ。
(あっ、お茶が点った!)
札を見る!
「つ・月!」
メイは、思わず声を上げた。
そう、月の人と、花の人は、無言といえども、名乗らなくてはならない。これだけは発声するのだ。
(と、取りに行かなきゃ)
ぼーっとしている間はない。
周りを止めちゃいけない!と昔の先生に何度も怒られてた教訓を生かし、
茶を取りに出た。
月が当たった人はお茶を飲むのが役割なんだ。
御茶が飲めてよかった、という気持ちも持てやしない。
ただただ義務的に飲んだ。
すると、隣から札を入れておく箱が回ってきた。
(ど、どうするの?)
メイは茶碗を持ったまま、きょろきょろと箱と茶碗と内弟子の先生、隣の人に、訴えるような眼で見まわした。
(つづく)
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