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2009年3月

圭君が出ていく?(2)茶道内弟子修業日記90

「この間、結構チョコもらったし。

学校でもてるんだぜ」

圭君がいたずらっぽく笑って言った。

バレンタインのチョコのことみたいだ。

みんなが、自分に対して、

違うものをみるような目の”メッセージ”を自分で読み取り、

学校を避けてたのに、

彼は、あの日からただ黙って学校に毎日通う、

それからはじめた。

すると、周りも彼に近づき始めた・・・

ってことかな・・・

なんとなくメイには周りの子たちの表情が見える気がした。

「うん、そう言われてみれば、なかなかかっこいいもんね」

彼に対するよくない噂とか、前の学校でどうだったとか、

そういうことじゃなく、彼自身を周りがちゃんと見始めたってことだよね。

メイは、そんな風に周りに彼が認められたことが内心、すごくうれしかったけど、

わざと圭君をからかうように言った。

――お寺でも、日課の土間掃除を欠かさない。

  夜中に寺の塀を超え、

  抜け出したりする必要もなくなった・・・みたいだ。

そういう意味じゃないんだけど―

と、照れくさそうに舌打ちする圭君。

「ほら、お客さん!」

日曜日、拝観のお客さんは多い。

メイは笑いながら注意した。

「御抹茶を4人分、お願いします」

「はい」

拝観の受付をして、

(4名ね!)と、水屋の圭君に指で合図した。

大人たちが、圭君の気持ちを汲んでくれるといい・・・

メイは、自分は何もできないのがはがゆかった。

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圭君が出ていく?<茶道内弟子修業日記89

「出てく?」

それはあまりに突然だった・・・

~前向きに自分と向き合うんだ、

それで、自分が変われば周りも変わるはず~

そう言って笑った圭君が・・・

「親が心配してさ、こっち(京都)に引っ越してくるって」

「でも、お父さん、関東の大学の教授でしょ?」

「うん、それで、関西の大学に移ったんだ」

「それで、一緒に暮らすの?」

「いや、僕はここで卒業までがんばる」

でも、ご両親もお寺も、圭君が出ていくことで同意しているらしい。

大人たちは、圭君のこの変化に気づいていないのか・・・

それとも、いつものように調子いいことを言っているだけ、と思ってるんだろうか。

前までは、メイも圭君は親元にいたほうがいいと思ってた。

ここはあまりに無理だと・・・

でも、今は違う。

ここの方が彼が成長できる気がしている。

それに圭君の目は必死だった。

「親が何と言おうと、今度はここに残る」

自分が残らないといけないと気づいたんだ。

まだやり残したことがたくさんある。

そう言う圭君に、メイはうん、とうなづいた。

同時に、なんだか大人たちに腹が立った。

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露堂々・・・茶道内弟子修業日記86

「露堂々?」

「うん、自分が、どう見られたいのか、じゃなくて、

どうあるのか、ってこと」

かっこよく見せようとしたって、

バレバレなんだって、

お父さんに言われたらしい。

――他の誰かに、ってことじゃなく

まず、自分にバレバレだろって。

「学校も、行くよ、毎日、寺の掃除も・・・

言われたからじゃなくて、止めたらくやしいからね」

周りにどんな目で見られようと、誰かのせいにして逃げてたら、

そういう目でしか周りを見れない自分に負ける気がして

“悔しい”

すごく澄んだ明るい声で「くやしい」と言った。

ガラス越しで顔は見えないけど、きっと笑顔だと思う。

「マジ、ホント、行きたいし」

圭君は、他の人によく見られたいからじゃない、

「さぼらないと、自分がすげ~気持ちいいんだ」

そう言った。

さぼって自由にしてたときより、型にはめられたお寺ライフの中に入ってから、圭君は自由を感受したみたいだ。

それって、なんだかお茶の点前みたい。

型があると、最初、自分が押し殺されてしまうように感じるんだけど、本当はそこにはまってみると、

簡単なこともできない自分がいたり、普段見たこともない自分が出てきたりして、深い部分の自分が思い切り顔出してくるのだ。

その隠れてた(いや、今まで目もくれなかったというべきかも)自分と向き合うのって面白いんだ。

圭君の言ってること、すごくわかった。

「・・・もう心配ないね」

「ふっ」圭君が吹き出し笑った声がした。

「メイさんより先にここにいるんだぜ。

こっちの方が見てて心配だよ」

(た、確かに・・・)

人を、「だめじゃないか」と否定的にしか見ていなかったメイでは、誰かを心配しているより、まず自分を見よ!ということだ。

じゃ、っと圭君はお寺に向かった。

(ようだ)

メイは圭君の足音が去ってから、戸を開け、圭君の差し入れが入った袋を手に取った。

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