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茶道内弟子修業日記79

【三が日の小さな事件】

元旦早朝の和尚さま方の正月挨拶回りが終わると、

三が日の間は、檀家さんやら、他のお客さんがたくさん、挨拶にいらっしゃる。

御菓子は、大徳寺弁当という縁高の菓子器に、

半紙を敷いて、

主菓子、干菓子、水菓子(干柿とか果物)や駄菓子も乗せて、

(お煎餅もあった)

とにかくいろいろのせて、出すのだ。

それで抹茶を一服点てだし。

一人、水屋で菓子の用意をしていたら、

後ろから、ツンツンとつつかれた。

振り返ると、

お寺に下宿してる高校生の”問題児”

圭くんだった。

(しかし、あの日以来、きちんと土間掃除の時間までには帰ってきていたので、もう、問題児とは呼ばなくていいだろう)

「今、母と妹と和尚様に挨拶に来たんだ」

「明けましておめでとう。御正月は家に帰れて、よかったね」

「う~ん、まあね」

あの日依頼、10も年下なのに、メイにはため口だ。

でも、これは彼にとって、心を開いている相手だけに対する言葉使いなので、彼らしい敬意の表し方なのだと感じている。

お寺の中で孤立してる彼にとって、

メイは(自称)母親代わりなのである。

他の人の前では、無表情の彼が、メイの前では、笑ったり怒ったり、いろいろな表情を見せてくれる。

「また、学校が始まるから月曜にはお寺に戻ってくるよ」

うん、とメイはうなづく。

「この菓子、出すの?」

「手伝ってくれるんだ」

「どうせ、今、座敷に坐ってるのは、うちの家族だけだし」

「じゃ、私、お茶出すね」

彼に続いて、メイも茶碗をお客さんに運んだ。

この3が日は、こんな風に、お客さんを座敷に通して、お菓子を出し、抹茶を出す。

奥様がお席に入って、相手をされていた。

メイがお茶を出して、頭を下げると、

圭くんのお母様も一礼された。

教育評論家というだけあって、知性や品性を感じる。

隣に座られている妹さんを見てびっくり。

(そっくりすぎ!圭くんの中学生版だ!)

顔だけじゃなくて、長身に細見、顔が小さくてモデル体系なところもうり二つだ。

(確かにお父様も時々、教育テレビで見るけど、リチャードギア似でカッコイイしね)

「圭くんが中学生になったみたい」

帰り際、また圭くんが水屋に顔を出したので、からかってみた。

すると、圭くんはいつもの大人っぽい表情に戻り、

「来年は、法律上も結婚できる歳になるし・・・

そう、さっき、母と妹に、”あの人と結婚したいと思ってる”ってメイさんを指さした」

「?」・・・今、なんて言った?

「妹が、『きれいな人だね』って」

あの・・・

「からかった御返しで、そんな冗談言ってるの?」

「いーや、本気だけど。

・・・母親にも『相手にされないでしょ』って本気にされてなかったけど」

(うそでしょ? ホントに言ったの?)

頭の中で、なぜそんなことを突然、圭くんが言いだしたのか、必死で考える。

「あ、もう帰んなきゃ、母が玄関で待ってる」

「ちょっと、待って

思わず、背を向けた圭くんの腕をつかんだ。

(なんて、細い・・・)

成長期の少年独特のやわらかく、もろそうな骨を直接、手に感じた。

メイでも力を入れれば折れそうで、圭くんの腕を通して、彼の「幼さ」をつかんだ気がして、さっと手を離した。

(まだこんなに子どもなんだ)

圭くんは、メイが言いたいことはわかってるけどね、という顔で、そのまま何も言わず、親と帰って行った。

このとき、まだメイは、このことを甘く見ていた。

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