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茶道内弟子修業日記77

「これで、全寺の和尚様いらしたね、

私たちもお茶にしましょうか」

奥様に言われて、

やっと和尚さま方へのお茶出しと言う緊張の時間が終わったことがわかった。

私達はいつも、朝のお茶をする四畳半に坐った。

「今日は掃除とか洗濯いいんですか?」

奥様に聞くと、元旦はしないのが習わしらしい。

それでも、四畳半にいつものように釜を掛けるのは、同じだ。

和尚様はまだ外回りなので、

奥様と息子さんたちと私たちだけのお席であったから、

なんとなくいつもよりゆったりしてる気分。

点前は、カワくんだった。

「今年は、桃仙の和尚様が一番だったわね、

賑やかな年になりそうね」

奥様が言った。

「メイさんは、はじめてやろ、寺の正月、和尚がたくさん来て、驚いたんやないか?」

長男さんに言われて、メイはうなづく。

「そういえば、あの桃仙院の和尚様が、

京子さんは、お寺に嫁いで、

私はお茶に嫁ぐとか?

言われたんですが、

茶の修行を一生続けろってことでしょうか」

メイがそう言うと、京子さんと奥様が目を見合わせた。

「あの和尚、そう言った?

ハハ、あの和尚の人相見は当たるって有名らしい」

三男さんが笑いながら言うと、

カワくんもお茶を出しながら、

「友達も受験の時見てもらって、

『一生、金に困らんので安心しなさい』って言われたらしい」

と、メイを見ながら言った。

「それって、何が受験に関係あるの?」

「その子は、落ちたんだけど、

きっと、和尚様が落ちるってわかってたから、

逆に違うこと言ったんじゃないかって」

「へ~」

「それで観光客があの寺は多いんや」

長男さんも話に乗ってきたが、

奥様と京子さんだけは、

下を向くようにお茶を飲んでいた。

「目が悪いとか、良いとかも言われましたけど、意味がよくわかりませんでした」

「目が悪い?」

「メイさん目が悪いんか」

「はい、でも、良い目だって言われて」

「そりゃわからんな」

「見たものを伝えなさいって、誰かに」

「ますますわからんな」

「そうなんです」

和尚様の話はこれきりだった。

茶碗をかたずけるために水屋に行くと、

京子さんに、袖をツンツンとされた。

「メイさん、言うとくわ」

なんとなくバツが悪そうな京子さんの顔、

はじめて見た。

(何何何???)

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